特定非営利活動法人気象と地域防災フォーラム

理事長ご挨拶

 

 近年は甚大な気象災害が相次いでいます。西日本豪雨(平成30年7月豪雨)や、令和元年東日本台風(2019年台風19号)、令和2年7月豪雨など、毎年のように広範囲に、これまでにない記録的な大雨が降り、大河川の氾濫や土砂災害が相次ぎ、多くの方が犠牲となっています。また、命は助かったものの、逃げ遅れて、自宅などに取り残される方も数多く発生しています。気候変動などの影響もあり、雨の降り方が強まっており、東京の江東5区などの大都市のゼロメートル地帯の住民が一斉に避難しなければならない事態も想定されます。

 国や自治体は市民に的確な避難を促すために、避難情報を改善し、避難指示の一本化(避難勧告の廃止)や、危険度がわかるよう「警戒レベル」の表記を行うなど、情報の改善を行っていますが、「顕著な大雨に関する情報」や「土砂災害警戒情報」、「川の氾濫危険情報」など情報の種類が増えており、市民にとって決して理解しやすいものではありません。

 私たちは、市民の立場に立ち“伝わる情報”、“市民に寄り添う情報”の視点で、避難情報や気象情報への理解促進を図るとともに、市民自らが避難行動を考える「マイ・タイムライン」などの気象コミュニケーションにより、逃げ遅れゼロ、水害による犠牲者ゼロを目指したいと考えています。また、防災・減災にとどまらず、気候変動を含むSDGsや地域振興、子供たちの明るい未来の創造にも貢献してまいります。

岩谷忠幸理事長

特定非営利活動法人気象と地域防災フォーラム

 理事長 岩谷 忠幸(いわや ただゆき)

1969年生まれ、東京都出身。東京都立大学(首都大学東京)理学部地理学科卒業。

大学では「気候学(局地風や都市気候)」を専攻するとともに、ワンダーフォーゲル部の主将として全国各地の山を登る。卒業後は気象会社にて天気原稿や局地予報、ラジオ出演などを経験したのち、第1回気象予報士試験に合格したのをきっかけに、フジテレビや日本テレビの気象キャスターとして、約14年間出演。その間、フランスで開催された国際気象フェスティバルにて「アジア賞」受賞。2004年2月にNPO法人気象キャスターネットワークを創設。文部科学省「地球観測推進部会」、東京都「クールネット連絡協議会」、埼玉県「土砂災害検討委員会」などの委員、地球温暖化防止全国ネット主催「脱炭素チャレンジカップ」審査員長などを務める。