特定非営利活動法人気象と地域防災フォーラム

「多摩川学習ツアー」を企画・開催しました

 

 令和4年8月27日(土)、特定非営利活動法人気象と地域防災フォーラム主催の多摩川学習ツアーに参加しました。川の博士であり当フォーラムの副理事長である知花武佳先生の解説を聴きながら「多摩川」について学ぶという内容でした。総勢26人でのツアーとなり、10代以下のお子さんも10名参加され終始賑やかな雰囲気となりました。

 ツアーは多摩川の上流からスタートし、知花先生の解説を聴きながらダムや堰をポイントごとに見学し中流まで下っていくという流れでした。それぞれのダムや堰の移動はバスで、その中でも知花先生の解説や学習ビデオなどがあったため、丸一日学ぶことができました。また、知花先生は子どもと同じ目線に立ってお話をされたり、子どもが興味を惹くような生き物の説明をされていたりしたので大人だけでなく子どもも含めて参加者全員が楽しめたツアーでした。

 ツアーでは小河内ダム、白丸ダム、御岳渓谷、羽村取水堰、多摩川水再生センター、二ヶ領宿河原堰に行きました。その中で特に印象に残ったのは以下の二つです。

 青梅駅を9時に出発し、最初に向かったのは東京奥多摩町にある小河内ダムです。当時は真夏の太陽が降り注ぐ中でしたが、小河内ダムは標高が530mの位置にあるためか空気は涼しく感じました。ここで学んだのは、水道水用と洪水対策用の役割が異なるダムがあるということです。それまでは「ダム」は一色単に同じものだと思っていました。水道水用は満杯に、洪水専用は空っぽにするのが理想とのことでした。

 小河内ダムは基本的には水道水用ですが、令和2年度から洪水対策にも協力することになったため、大雨の前は放流し、水位を低くして洪水に備える等の対策を取られているそうです。ただ予想雨量より少ない雨になってしまうと水不足に陥り、雨が多く降ると洪水が発生するおそれがあるという話をされており、気象予報士として気象情報の重要さを痛感しました。

 印象に残った二つ目は白丸ダムの魚道です。魚道は、ダム建設のためにできた大きな高低差を和らげアユなどの魚が下流から上流へ登る手助けをするものです。小さな高低差をもつ階段のようなものが332m延びており、魚が27mの高低差を登ることができるようになっていました。一つ一つの階段ごとに魚の休憩スペースが設けられていたことが印象的で、実際に休んでいる魚もみつけることができました。

 ダムや堰は人々の生活の安全のためだけでなく生き物も守っていくために多くの工夫がされていることを学んだツアーとなりました。このツアーを機に私の中で二つの変化がありました。一つめは、気象情報を届ける相手を広い視野でみようとするようになったことです。気象情報がダムの放流量に影響しているというお話を聴き、それはまさに人々の生活に直結する問題であり、気象情報がいかに人々の生活を左右するものであるかということを痛感しました。

 そして二つ目は、節水に取り組むという意識大きくなったことです。私たちが当たり前のように使用している水道水はどこから来て、どのような工夫がされて届けられているのかということを実際に観て、知花先生のお話を聴いて学ぶことができました。学ぶだけでも人は行動を変えることができるということを実感しました。   

熊谷 琴葉(気象予報士)